現在の投資信託は、S&P500やダウに連動した商品や全世界に投資できる商品数多く出てきており、多様性に富んでいます。
また、以前は信託報酬が米国株ETFと比べて割高でしたが、最近は投資信託の信託報酬も安くなってきており、その差がどんどん小さくなってきているのも事実です。
その為、「米国株ETFなんて買わないで、投資信託だけに投資すれば十分じゃね?」って発想になっても不思議ではありません。
とはいえ、私は米国株投資家。
米国株ETFに投資した方が有利だと思っているから投資している訳です。
では、投資信託より米国株ETFで運用した方が良いケースとは何か?確認したいと思います。
結論
米国株ETFに投資した方が良いケースは以下3つを満たしている場合だと私は考えます。
- 1回の投資額が1,111ドル以上用意できる
- まとまった資金を運用できる
- 長期投資である(短期売買はしない)
それではそれぞれの理由を確認していきます。
1回の投資資金が1,111ドル以上である
1,111ドル以上としている理由は、手数料負けするからです。
現在ネット証券の米国株売買手数料は、買付額の0.45ドル(最低5ドル、最高20ドル)が主流です。
1,111ドルの0.45%は約5ドルとなりますので、1回あたりの投資額が1,111ドルを下回る場合には、無駄に多くの手数料を支払うことになります。
例えば、100ドル投資した場合、最低5ドルかかるので5%の手数料がかかってきてしまうのです。
逆に言うと、毎月100ドル(約1万円)づつ投資を考えているのであれば、売買手数料がかからない投資信託の方が有利ということになります。
まとまった資金で運用できる
米国株ETFの優位性の1つとして、信託報酬が安いことが挙げられます。
「今は投資信託も安いからそんなに変わらないでしょ?」って声が聞こえてきそうですが、全然違います。
0.xxxのレベルなので、パッと見たところ違いが分かりにくいですが、計算してみるとその違いは歴然です。
以下は、米国株ETF「VTI」と、投資信託「楽天VTI」のコストとなる売買手数料と信託報酬を比較した表です。
前提は、2つの商品共に、毎月1,111ドルを20年間投資したケースとしてます。
(※注)楽天VTIは円建てなので、ドルでは買えませんが比較のためドルとしてます。また、信託報酬以外の隠れコストは考慮していません、
VTIは売買手数料に1,111ドル辺り5ドルかかりますので、年間で「5ドル×12=60ドル」の売買手数料がかかってきます。
楽天VTIはノーロードの為、売買手数料は0ドル(無料)です。
表の赤枠を見て下さい。
20年後には、売買手数料を加味しても、VTIのコストは楽天VTIの半分になってますね。
この差は、信託報酬の安さです。
投資資金が増えれば増える程に、この差は大きくなりますので、大きな資金で運用する場合には米国株ETFの方が有利と言えます。
長期投資である(短期売買をしない)
先程の表を再度ご覧下さい。
今回のVTIと楽天VTIのケースでは、売買手数料と信託報酬の和(総コスト)が逆転するのは、赤枠の6年目からです。
ということは、最低でも6年以上保有すれば、コスト面ではVTIの方が有利ですし、それ以下であれば楽天VTIの方が有利と言えます。
ちなみに、上記はあくまでも前提に基づいた結果であり、前提を変えればもっと短い保有期間でVTIの方が有利になります。
例えば、1年目に買付した後、買い増しせずに保有した場合、3年目でVTIの方がコスト安になります。
しかし、短期売買をしてしまうと、このような結果にはなりません。
それは、売買する度に手数料がかかってくることで追加コストが発生してしまい、結果的に投資信託よりコスト高となる可能性があるからです。
その為、バイ&ホールドの長期投資であれば米国株ETFが有利であり、短期売買なら手数料のかからない投資信託の方が有利と言えるのではないでしょうか。
まとめ
以上をまとめると、
米国株ETFでの投資が向いているのは、
- 1回の投資額が1,111ドル以上用意できる
- まとまった資金で運用できる
- 長期投資である(短期売買はしない)
逆に投資信託での投資に向いているのは、
- 1回の投資額が少額
- 短中期的に利用する目的がある(自動車購入、住宅ローンの頭金など)
- 短期売買も考えている
であると言えそうです。
尚、本記事で言いたいのは、一定の条件を満たしているのであれば米国株ETFの方が、コスト面で有利と言っているだけであり、リターンを保証するものではありません。
とはいえ、コストはリターンに大きく影響を与えますので、リターン面でも米国株ETFの方が有利である可能性は高いとも言えます。