前回、リーマンショック(暴落)時の米国株セクター別の騰落率をランキングしてみました。
しかし、株価の下落率が小さくても、その後の回復に時間がかかってしまうのであれば、その間は投資効率が下がってしまうのではないか?と思い始めました。
(逆に株価の下落率が大きくても、その後の回復が早ければ、その後の投資効率は上がるはず。)
というわけで、今回は暴落後の回復が早い米国株セクターは何か?調べてみました。
リーマンショック後の株価回復期間を確認
前回同様、各セクターはバンガード社が扱う米国株セクター別ETFを利用。
以下の条件で回復期間を算出。
- リーマンショック直前(2007年~2008年)の各セクターの高値とその時期を確認
- リーマンショック後に上記高値まで株価が戻った時期を確認
- 1と2の期間を算出
S&P500の回復期間は5年4か月
S&P500がリーマンショック前の高値まで回復するまでの期間を確認してみたところ、5年4か月かかっていることが分かりました。
この期間を基準に確認していくことにします。
各セクターの回復期間まとめ
以下に暴落からの回復期間をセクター別にまとめました。
順位は回復期間が早いものから昇順としてます。
順位 | ETF名称 | ティッカー | 回復までの期間 |
---|---|---|---|
1 | 米国生活必需品セクターETF | VDC | 2年11か月 |
2 | 米国情報技術セクターETF | VGT | 3年4か月 |
3 | 米国ヘルスケア・セクターETF | VHT | 3年5か月 |
4 | 米国一般消費財・サービス・セクターETF | VCR | 3年11か月 |
5 | 米国資本財・サービス・セクターETF | VIS | 5年4か月 |
5 | 米国素材セクターETF | VAW | 5年4か月 |
7 | 米国公益事業セクターETF | VPU | 5年6か月 |
8 | 米国エネルギー・セクターETF | VDE | 5年9か月 |
9 | 米国電気通信サービス・セクターETF | VOX | 6年5か月 |
10 | 米国金融セクターETF | VFH | 10年5か月 |
S&P500の回復期間が5年4か月ですので、丁度真ん中の5位と同じですね。
なので5位以上であれば平均より回復が早く、5位以下であれば平均より回復が遅いと言えます。
株価回復力が高いセクター ベスト3
1位 生活必需品セクター
堂々の1位は生活必需品セクターです。
騰落率でも1位でしたので2冠達成となります。
騰落率のマイナス幅が低い方が回復も早くなる可能性は高くなるので、当然と言えば当然の結果とも言えます。
とはいえ、S&P500の約半分の期間で高値まで戻している点はさすがと言えます。
2位 情報技術セクター
2位は情報技術セクターでした。
騰落率は5位で、S&P500の下げ幅とほとんど変わりませんでした。
しかし、回復は早く3年4か月で高値まで戻してます。
その為、騰落率のマイナス幅が低ければ、回復も早いとは一概には言えないようですね。
3位 ヘルスケアセクター
ヘルスケアセクターは騰落率では2位でしたが、回復力では3位でした。
とはいえ、情報技術セクターとの差は1か月でしたので、誤差の範囲です。
そう考えると情報技術セクターが特殊であり、やはり成長力が高いセクターなので回復も早かったものと思います。
株価回復力が高いセクター ワースト3
1位 金融セクター
金融セクターがワースト1位でした。
こちらも騰落率でもワースト1位であり、2冠達成!
なんと高値まで戻すのに10年5か月かかってます。
ていうか、最近じゃん。
これを見ると金融セクターへの投資はしない方が良い気がしてきますね・・・。
2位 電気通信サービスセクター
電気通信サービスセクターは騰落率では4位といい感じでしたが、回復は遅く6年5か月かかっています。
AT&T、ベライゾンの成長力が低下していることから、回復も遅くなったものと思います。
但し、電気通信サービスセクターは廃止され、コミュニケーションサービスセクターとして銘柄編成が行われてますので、本結果は参考レベルとなります。
3位 エネルギーセクター
エネルギーセクターは騰落率ワースト4位で、回復力はワースト3位となってます。
決して良い成績ではありませんが、もともとエネルギーセクターは暴れ馬感(高ボラティリティ)があるので、仕方なしですね。
その点、高配当銘柄が多いセクターとも言えます。
本結果を受けて、やはりエネルギーセクターは1銘柄だけ保有していれば十分かなって再認識しました。
最後に
2度にわたり、リーマンショック時のチャートから騰落率と回復力を確認してきました。
その結果、やはり生活必需品セクターは暴落時には有能だと言えそうです。
以下は、今回のベスト3位とワースト3位の2007年~2018年のチャートです。
景気回復局面に入ると、生活必需品セクターのリターンが冴えなくなり、情報技術セクター、ヘルスケアセクターのリターンが大きくなっていることが分かります。
その為、生活必需品セクターのみで形成されたようなポートフォリオですと、暴落時のクッションになり得る可能性は高いですが、キャピタルゲインを得る機会損失になる可能性もあるので、保有銘柄の分散は必要ですね。
ちなみに、ワースト3位のセクターは2018年時点でもリーマンショック前からほとんど成長していないことが分かりました。
こうしたセクターは高配当銘柄が多いですが、キャピタルゲインは望めないとも言えますので、今後のポートフォリオ作成の参考にしようと思います。
↓合わせて読んで頂きたい記事です。
リーマンショック時のセクター別の騰落率について書いた記事です。