先日、東京MXの朝のニュース番組でひいきにしている、モーニングクロスのオピニオンクロスという企画で、税理士の先生が「退職所得控除」について言及されていました。
本当の趣旨としては、「働き方が変わっていくのに、それに合わせて税制はなぜ変わらないのか?」といったような内容でした。
その一例として退職所得控除を説明されていたのです。
特に私はこの退職所得控除に興味があったので、取り上げることにしました。
退職所得控除とは?
退職金は税法上「退職所得」と呼ばれます。
もちろんこの退職所得にも所得税は課せられます。
しかし、この退職所得にかかる税金の計算は、給与所得とは異なり、勤続年数などによって、控除額が異なります。
退職所得の金額は、原則として、次のように計算します。
(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額
この内、退職所得控除は以下で算出されます。
例えば、
■勤続年数が15年6ヶ月の場合
繰り上げられて16年の扱いとなります。
その場合、「20年以下」に該当しますので、以下が退職所得控除額になります。
40万円×16年=640万円
■勤続年数が38年の場合
「20年超」に該当しますので、以下が退職所得控除額になります。
800万円+70万円×(38年-20年)=2,060万円
これより、勤続年数が38年で退職金が2500万円だとする人の退職所得は、
(2500万円 - 2060万円) × 1 / 2 = 220万円
になります。
退職金の所得税
次に、先程算出した退職所得を元に以下の所得税の早見表を確認します。
赤枠に該当しますので、
(2,200,000円×10%)- 97,500円=122,500円
となり、約12万ちょいが納税する金額になります。
納税額少なすぎじゃない?
その税理士さんもおっしゃってたのですが、退職金の納税額って少なすぎじゃないですか?
2500万に対する納税額が12万ちょいって、冷静に考えるとおかしいです。
給与所得で毎月納めるレベルの金額です。
そもそも散々退職所得控除したあげく、1/2する理由も良く分かりません。
退職所得控除は勤続期間が20年を超えると控除額が急増する仕組みになっており、転職者に対して中立的ではなく、働き方の多様化に追い着いていないと言えます。
まー、未だに終身雇用が色濃く残る制度のままということですね。
現在のままだと、一部大企業の社員だけが、高額な退職金を貰い、少額の納税という甘い蜜を吸えることになるのです。
では退職金が無い労働者はどうすべきか?
私の会社では退職金があるものの、とても期待できる金額ではなさそうです。
現に、私の後輩の中には、退職金無しで入社している層もいます。
しかし、勤めている会社に退職金が無くても、本制度を利用することができます。
それが、個人型確定拠出年金(ideco)です。
idecoは60歳時点で一括で受け取るか、年金で受け取るか選択できますが、一括で受け取る場合には退職所得控除を適用できるんですね。
以下は、仮に30歳から60歳までの30年間、会社員の上限23,000円をリターン6%で拠出した例です。
約2300万の退職金を作ることができました。
これを先程の計算式に当てはめると、
(2300万円 - 1500万円) × 1 / 2 = 400万円
4,000,000×20%-427,500円=372,500円
最終的な納税額は372,500円となり、一般的な退職金同様に少ない納税とすることが可能となります。
最後に
idecoで退職所得控除が受けられることは認識していましたが、今回の記事を書いてみて、再度その利点を確認することができました。
フリーランスの方や、退職金が無いサラリーマンも、idecoを活用することで退職所得控除の恩恵を受けることができます。
退職金が無いと、退職所得控除に批判的な意見があることも理解できますが、やり方次第で活用は可能な訳です。
(とは言え、私も現在の退職所得控除の制度については納得できない部分はあります・・)
であれば、とりあえずidecoを始めてはいかかがでしょうか?
↓関連記事です。よろしければご覧下さい。
ideco、つみたてNISAを活用した退職金の作り方について書いてます。